「FTMの性別適合手術ってどんなことをするのだろう……」
「治療費はいくらぐらいかかるのかな……」
FTMの当事者本人の方、またはその周りの家族や職場の方など、気になる方が多いのではないでしょうか。
そこでここではFTMの性別適合手術について、行うための条件や費用、術式やそれぞれのメリットデメリットなどをご紹介します。
当事者はもちろんのこと、家族や職場の方々にもご覧いただき、当事者がどのような治療を行うのかを理解していただけたら幸いです。
FTMの性別適合手術とは?
FTMの性別適合手術とは、大きく2段階に分かれています。
1段階目は、卵巣摘出術、子宮摘出術、尿道延長術、膣閉鎖術で、2段階目は陰茎形成術です。
戸籍の性別変更に必要なのは、1段階目の卵巣摘出術と子宮摘出術なので、その二つのみを行うことがほとんど。
それ以降を行うのは、リスクも金額も高いことからあまり見られません。
卵巣摘出術と子宮摘出術は、その名の通り、卵巣と子宮を摘出することです。
戸籍の性別を変更するためには、生殖機能を失っている状態であることが条件の1つ。そのため多くの方がその二つを行います。
FTMが性別適合手術を行うための条件
「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」では、性別適合手術を行うために以下の条件が必要と明記されています。
・2通の意見書が出ており、身体的治療への移行の条件を既に満たしていること
・20歳以上であること
・性別適合手術適応判定会議において承認を得ること
以上に加えて、病院などによってホルモン治療歴の長さなどが条件として加えられます。
概ねガイドライン通りに治療を進めていて、1年以上ホルモン治療を継続しており、特に大きな病気などがなければ性別適合手術を受けることができます。
「胸オペ」は性別適合手術ではない
胸を取る手術、通常「胸オペ」は、実は性別適合手術ではありません。
とはいえほとんどのFTMが胸オペを行うので、FTMの性別適合手術の1つとして認識されている面もあります。
胸オペは性別適合手術とは異なるため、上記の性別適合手術を行うための条件を満たしていない場合でも行うことができます。
まずは身体において最も女性的である胸を取りたいということから、ホルモン治療よりも先に胸オペをするケースも少なくありません。
またホル注よりも先に胸オペをすると、その他の条件によっては保険適用で胸オペを行うことができます。
全身麻酔を伴う性別適合手術の際に同時に行う、というケースも多いです。
性別適合手術の術式
それでは性別適合手術の中でも、子宮摘出術と卵巣摘出術に絞って術式を簡単に紹介します。
開腹術
最もスタンダードな術式です。
下腹部を13㎝ほど切開し、子宮と卵巣、卵管を切除、摘出します。
膣上部で縫合するので、膣は残ります。
下腹部に一本線の傷口が残るのが特徴です。通常はパンツで隠れるので見えることはありません。
腹腔鏡術
お腹の数か所を0.5~1.5㎜ほど切開し、内視鏡カメラを使って手術を行います。
傷口が小さく、目立ちにくいのが特徴です。
また切開範囲が少ないので、術後の痛みが少なく、回復も早くなります。
ただ、開腹術よりも費用が高い傾向にあります。
膣式術
お腹を切開することなく、膣から摘出する手術です。
切開をしないので、傷口ができません。また術後の痛みは少なく回復も早いです。
ただしこの術式は、難易度がとても高く、技術力のある医師のいる病院でないと行えません。
また費用も高額となります。
FTMの性別適合手術の費用
FTMの性別適合手術は、国内で行うかタイで行うか、また術式によって費用が異なります。
日本で子宮摘出術と卵巣摘出術を行うならば、病院によって上下しますが100万円前後となります。
前後の検査代なども含めると、100万円は必ず超えると思っておきましょう。
またこれは開腹式の場合です。
腹腔鏡式だと、例えナグモクリニックだと+約40万円ほどです。
国内で膣式を行える病院はほとんどありません。
タイで手術を行う場合には、日本よりも安くなります。
タイの場合はアテンドなどの料金も含めて100万行かないぐらいが目安です。
腹腔鏡や膣式の実績が多いのは、タイの方です。料金も開腹式に+10万円もない程度なので、もし傷口が目立たず、痛みが少ない方法がいい方はタイでの手術をオススメします。
タイで手術を行うか、日本で手術を行うかは費用や技術力以外の面も、考慮に入れなければなりません。
術後のケアのことや、海外で過ごすことに対してのメリットデメリットを鑑みて決めましょう。
詳しくは、別の記事で解説しています。
手術からどのくらいで通常の生活に戻れる?
やはり多くの方が気になるのが「どのぐらいの術後どれくらいの期間で通常の生活に戻れるかどうか」ということではないでしょうか。
もちろん個人差は大きくありますが、早ければ2週間、概ね1カ月~1カ月半あれば通常の生活には戻れる傾向にあります。
激しい運動や身体を動かす仕事の場合には、1カ月以上は見ておいた方がいいです。
通常のデスクワークなどならば、痛みや違和感は残るものの術後2~3週間ほどで戻れます。
※かなり個人差が大きいです。術後無理をして取り返しがつかないことにならないよう、無理のないスケジュールで休みを取っておきましょう。
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