アライとは?アライになる方法・注意点3つと事例をご紹介

「アライという言葉を聞いたけど、意味があまり理解できない」
「アライになりたいけど、何をしたらいいか分からない」

そんな悩みを持つ方に向けてこの記事では

  • アライとは何か
  • アライになるためには何をしたらいいか
  • アライとしての注意点

を中心にご紹介します。

たっしー

アライの著名人や、実際の企業の取り組みなどもご紹介しています。
ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

アライとは?

まずはアライとはなにかをご紹介します。

アライの定義

アライとは、LGBTなどの性的マイノリティのことを理解し支援する非当事者の方、それを表明している方、またはその考え方を差します。

「味方」「同盟」「支援」を意味する「ally」という英単語が語源です。
「何をしていたらアライである」と明確な定義はありません。
アライを表明して活動をする方もいれば、その考え方を持っているが表明していない方、LGBTについての理解を深めようとしている方も広い意味ではどなたもアライと言えるでしょう。
使われている場所によっては表明している方だけを差している場合もあります。

アライとLGBTフレンドリーの違い

アライと似た「LGBTフレンドリー」という言葉があります。

「LGBTフレンドリー」もLGBTに対して理解し、協力的な姿勢を示すことなのでアライと大きな違いはありません。
LGBTフレンドリーは企業や組織・団体に使われることが多く、アライは個人に使われることが多いです。

またLGBTフレンドリーよりもアライの方が一歩踏み込んで積極的に支援活動をしている方を指す場合もあります。

アライになるには?

アライは資格などではないので「これをしたらアライになれる」という明確な基準はありません。
LGBTなど性的少数者の方々に対しての理解を深めて支援の姿勢を見せることが第一です。

LGBTについて理解を深める

まずはLGBTなど性的少数者に対する正しい知識を身に付けることが大切です。
書籍や動画などで学ぶもよし、最近では講座や講演会なども行われているので参加してみるのもいいでしょう。

LGBT、特にトランスジェンダーについて学べる本はこちらの記事で紹介しています。

言葉遣いを見直す

LGBTについて学んだら言葉の使い方を見直してみましょう。
というより、学ぶと自然と使う言葉が変わってくるはずです。気を付けたい言葉遣いをいくつかご紹介します。

気を付けたい言葉遣い
  • 「レズ」⇒「レズビアン」
  • 「ホモ」⇒「ホモセクシャル」
  • 「男らしく」「女らしく」などの言葉
  • 「彼氏いる?」「彼女いる?」⇒「パートナー」という言葉を使う。あまり関係の深くない相手に容易にそういったことをそもそも尋ねない
  • 「結婚は?」「子供は?」と性的少数者の方にとってセンシティブな話題を簡単に口にしない

レインボーグッズを持って表明する

理解や支援の気持を周りに表明するには「レインボーグッズ」を持つのも分かりやすい方法の1つです。

ピンバッチ、ネクタイピン、イヤリングやピアスなどさりげなく身に着けることが出来るグッズが様々あります。
またデスクの脇などに立てられる小さめのレインボーフラッグもあります。
職場などでアライであることを表明したい場合には、そういったグッズも使ってみましょう。

ただしレインボーグッズを身に着けていたり、フラッグを立てたりしていても、LGBTに対して理解がないような言動をしていると「ただのファッション」と捉えられてしまい、逆効果になる可能性もあります。

難しく考える必要はありませんが、正しい知識を学んで言動に気を付けることを大切にしましょう。

アライとして注意すべきこと

支援をしようとした相手を逆に傷つけてしまうことがないよう、次のようなことに注意しましょう。

LGBTを一括りに考えない

同じ「L」「G」「B」「T」でも一人一人の状況、育った環境、考え方によって「これを言われたらこう思う」などの価値観は異なります。
そのため「この人はレズビアンだから、こう思うだろう」「ゲイの人にはこう接した方がいい」など一括りにして考えたり接したりしないようにしましょう。

LGBTというカテゴライズは「左利き」とか「背が高い」とか特徴の1つに過ぎません。
それだけで一括りにしてしまうのはとても危険です。

一人一人目の前にいる人「個人」として接するようにしましょう。

カミングアウトを強要しない

支援しようと意気込むあまりに、性的少数者かもしれないと思った方に対して「私に何でも言って」などとカミングアウトを強要するようなことがないようにしましょう。

カミングアウトをするもしないも、誰に、いつ、どのようにカミングアウトするのも本人の自由です。
絶対にカミングアウトしないと決めている人だっています。

そういった人に「カミングアウトしてもいいよ」などと言ったりしている場面をもし他の人が見聞きしただけでも間接的な強制カミングアウトになってしまいます。

困っているなら助けたい、という気持ちはとても素敵ですし、当事者としてはこんなに心強いことはありません。
だから相手が困っているときにそっと手を貸せるよう、「この人になら話せそう」と思われるよう、正しい理解と言動をしておくだけで大丈夫です。

アウティングは絶対にNG

アウティングとは本人の了承を得ずに、第三者に性的少数者であることを公開してしまうことです。

必ずしも悪意のあるアウティングばかりではありません。
本人を支援するために他の人の助けがいる、という理由でその人に話してしまう、ということもあるでしょう。
それでも本人の了承なしに、勝手に他者に話してしまうのは絶対にNGです。
その他者がどんなに信用できる人だとしてもダメです。

もしどうしても相談する必要がある場合には本人に許可を取るか、匿名や仮の話として相談するようにしましょう。

アライを表明している著名人

著名人の中にもアライを表明している人がいます。
ここでは代表的な3名をご紹介します。

MEGUMI

MEGUMIさんはLGBTコミュニティに貢献した人物や団体に贈られる賞典「Tokyo Superstar Awards」で司会を務めるなどアライを表明している著名人の1人です。

もともとゲイのお知り合いが多かったこと、活動家の杉山文野さんとお知り合いになったことなどがあり、自然と性的少数者の方々との関りが多くなったそうです。
実は本人としては「アライ」という言葉もご存じなく、自覚もなかったとのこと。MEGUMIさんがアライになった経緯やきっかけ、お考えなどはこちらの記事を読んでみてください。

https://cococolor.jp/megumi01
https://cococolor.jp/megumi02

レディ・ガガ

レディガガさんもアライを表明している著名人の1人です。

LGBT関係のイベントなどのライブに出演し、支援を表明するスピーチをしています。

真の愛とは、誰かの身代わりになって撃たれてもいいことです。そして私が皆さんのためにならいつ身代わりになってもいいと思っていることをご存知ですよね?(中略)
時々女子も好きになったりするけどね。

https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/77293/2

またトランプ政権時、性別の変更を禁止する法律が検討されていることが「ニューヨークタイムズ」で取り上げられた際も、Twitterで次のようにコメントをしました。

トランプ政権は、ここではない別の世界に生きているのかもね。私たちは社会や文化(の一員)として、私たちがどういう存在かを理解しているし、真実を知っている。彼らに性自認のことを教育するため、結束し、声を上げないといけない

https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2018/10/7.html

浜崎あゆみ

浜崎あゆみさんは、東京レインボープライドでのライブに出演、自身の経験や日本のLGBTへの理解への現状、自身のスタンスについて語っています。

20年前、自分が生きるのがつらくなりまして、どうしたらいいのかなとわからなくなったときに、初めて行ったのが(新宿)二丁目で。それ以来、自分のホームのような気がしてしまって。喜怒哀楽すべてを二丁目の仲間とともに過ごしてきたからこそ、今の私がある(中略)

まだまだ日本はコンサバティブ(保守的)ですから、マイノリティーが間違い、社会的弱者というイメージが拭えないという部分はあります。でも、マジョリティーが勝ち組で正しいということはないと私は思っています、これから先も生きるのに肩身が狭くなったり諦めたりする瞬間があると思いますが、この日のことを思い出してください。ずっとずっと自分に誇りを持って進み続けていってほしいと思っています。私もマイノリティーのひとりとして、みなさんと一緒にこれからも一緒に歩ませていただきたいと思っています

https://www.oricon.co.jp/news/2110781/full/

アライとしての企業の取り組み例

企業でもアライとしての活動をしているところが増えています。

「LGBTが企業のブランドイメージの向上に利用されている」という批判的な意見も時々見られます。個人と同様に「理解してますよ。支援してますよ」と表明しているだけで内実が伴っていなければ確かにその通り。

しかし実際に性的少数者の方々がより自分らしく生きられるように制度としてしっかり整備している企業があるのは事実です。
そういった取り組みが広がっていくことは素敵なことなのではないかと思います。

株式会社リクルート

株式会社リクルートでは、就業規則で配偶者や家族に認められている福利厚生などを同性パートナーにも適用しています。またLGBT専門の相談窓口を設けるなどの取り組みをしています。

また「LGBTQ ALLY」のバッジを2つずつ社員に配布、アライになってほしい他者に1つを渡すことで、アライの輪を広めるという活動もしていました。

野村証券

野村証券ではアライズ・イン・ノムラ・ネットワーク(ALLIES)という社内チームを立ち上げ、専門家による講演や研修を行ったり、社員がアライを表明するためにパソコンにレインボーステッカーを貼ったり、食堂や本店、支店に「アライになろう」というパンフレットを設置したりと、社内外でのアライを増やす活動をしています。

株式会社資生堂

資生堂グループでも就業規則で配偶者や家族に認められている福利厚生などを同性パートナーにも適用しています。

またイベントでは当事者へのメイクアップアドバイスを行う、店頭に立つ8000人のスタッフ全員がLGBT当事者が来店された際も対応できるよう研修を受けています。

まとめ

LGBTなど性的マイノリティの方々を理解、支援するアライについてご紹介しました。
まとめると次の通りです。

  1. アライとは?
    • アライとはLGBTや性的マイノリティを理解し、支援する非当事者の方やその考え方を持つ人を指す言葉。
    • 明確な定義はなく、「理解したい」と思う人も差して、幅広い層の人がアライと言える。
  2. アライとLGBTフレンドリーの違い
    • 両者ともLGBTに理解し協力的な姿勢を示すが、LGBTフレンドリーは主に企業や団体に使われ、アライは個人に使われることが多い。
    • アライはより積極的に支援活動を行う人を指すことも。
  3. アライになるために
    • 本や動画、セミナーなどでLGBTや性的少数者への理解を深め、支援の姿勢を示す。
    • LGBTに関する知識を身につけ、「男らしい」「彼氏/彼女」などの言葉遣いを見直す。
    • レインボーグッズを使い、アライとしての考えを表明する。ただし理解がないのにポーズとして持つのは避けるべき。
  4. アライとして注意すべきこと
    • LGBTを一括りにせず、一人一人の状況や考えを尊重する。
    • カミングアウトを強制せず、当事者の選択を尊重する。言いやすい関係性を作っておく
    • アウティングは絶対にNG。本人の許可なしに性的指向や性同一性を他者に明かすのは、最悪のケースに繋がることもある。

最後に

「アライになるにはどうしたらいいだろう」とこの記事を読んでくださった方へ。
あまり難しく考えすぎず、まず「アライになろう」としたときの気持をずっと大切にしていていただけたら嬉しいです。
当事者としてはそういった気持ちを持ってくれた人がいるだけでとっても嬉しいこと。
「私は積極的な活動はできないから……」などと思う方もいるかもしれませんが、寄り添った気持ちを持ってくださっているだけでもとても心強いです。

そして正しい知識と、相手に寄り添った言動が大切です。
これはLGBTに限らずすべての人間に対して言えることかもしれません。

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