胸オペ費用を20万円に抑えるには?保険適用で行う方法や条件

FTMやMTFの身体的治療には、莫大な費用が掛かります。
胸オペ、性別転換手術など100万円前後はかかってしまいます。

それを保険適用、つまり3割負担でできたらこれほどありがたいことはないですよね。
しかし様々な制約から、実際に保険適用で治療を行われる例はあまり多くありません。

そんななか、胸オペは比較的保険適用で行いやすい手術です。
胸オペを保険適用で行えれば、通常50万前後かかるものが、20万円以下に収めることができます。

たっしー

この記事では保険を適用して20万円以下で胸オペを行う方法を解説します。

目次

保険適用で胸オペする条件は?

まず性同一性障害の方が、保険適用で胸オペやSRS(性別適合手術)を受けるための条件は次の通りです。

・ホルモン治療開始前であること
・認定施設とされている病院で手術を行うこと

1つずつ解説していきます。

ホルモン治療開始前であること

胸オペを行うタイミングがホル注開始前であること。
これが胸オペを保険適用で行う条件の1つです。

現在、戸籍変更前のホル注は保険適用されない「自費診療」として位置づけられています。
そのため既にホルモン治療を始めている状態で、胸オペを保険適用で行おうとすると、国の保険の適用範囲で行う「保険診療」と保険適用外の「自費診療」を併用して行う「混合診療」という扱いに。
「混合診療」では「保険診療」部分だけを保険適用で行う、ということはできず、全て自費で行わなければならないという決まりになっているんです。

そのため胸オペをする前にホル注を始めてしまっていた場合には、保険適用でホル注を行えなくなってしまうのです。
もし既にホル注を始めている方は、保険適用での胸オペは諦めるしかありません……。

まだホル注を始めておらず、胸オペを行いたいと思ってい場合には、ホル注を始める前に胸オペをすれば保険適用内で行える可能性があることを考慮に入れて、治療の順番を検討しましょう。

認定された病院で手術を行うこと

保険適用で手術を行うためには、一定の基準を満たした認定施設で手術を行う必要があります。
一定の基準とは、次の通りのものです。

・形成外科、泌尿器科または産婦人科を標榜する病床があること
・性同一性障害学会の認定する医師(常勤非常勤は問わない)が1名以上配置されていること
・性別適合手術または乳房切除術を(性同一性障害の方に対して)20例以上実施していること、または形成外科もしくは産婦人科で5年以上の経験があり、性別適合手術または乳房切除術を20例以上実施した経験を有する性同一性障害学会認定医が常勤として1以上配置されていること。
・日本精神科学会の性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインを遵守していること
・性同一性障害学会と連携の上、手術の治療方針の決定及び術後の管理を行っていること

以上の条件を満たす施設は現在国内に2022年2月1日現在で7か所しかありません。
岡山大学病院」「光生病院」「山梨大学医学部付属病院」「名古屋大学医学部附属病院」「札幌医科大学附属病院」「沖縄県立中部病院」「行徳総合病院」「札幌中央病院」です。

関東には千葉県市川市にある「行徳総合病院」以外選択肢がありません。
また関西地方にも認定施設がないのが現状です。
安全性を重視しているがゆえに、認定基準が厳しくなっています。

それにしても保険適用で行えるのであれば、交通費や現地での宿泊代などを含めても30万円までには収まりそうですよね。

最新の認定施設は、性同一性障害学会のHPで紹介されています。

実際に以前実施した胸オペのアンケートでも、保険適用で手術した方は岡山大学病院山梨大学医学部付属病院を利用していました。

保険適用で胸オペができる病院

保険適用で胸オペを行うならば、認定された病院でないとできません。
認定施設の一覧をご紹介します。

岡山大学病院

岡山県岡山市にある岡山大学病院
2001年1月から全日本国内で2番目の施設として、性別適合手術を行ってきました。

岡山大学病院では、精神科、産婦人科、泌尿器科、形成外科のすべての診療科があるため、カウンセリングからホルモン治療、胸オペ、性別適合手術とすべてを一貫して行うことができます。

住所:岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 
連絡先: 086-223-7151(代表) ジェンダーセンター

光生病院

岡山大学病院と同じく、岡山県岡山市にある光生病院。
岡山大学病院と医療情報提携をしており、岡山大学病院のジェンダーセンターにいる難波先生が医院として形成外科にいらっしゃいます。
実際には岡山大学病院で診察を受けて、手術施設として光生病院を使用して術後の管理も光生病院で行われることが多いようです。

住所:岡山県岡山市北区厚生町3-8-35
連絡先:086-222-6806(代表)

山梨大学医学部附属病院

山梨県中央市にある山梨大学医学部附属病院。
性同一性障害学会の理事でもある百澤明先生がいらっしゃいます。

カウンセリングの診療はないため、他の病院で診断を受けて紹介状をもらう必要があります。
また性同一性障害の治療についての問い合わせは病院ではなく、直接百澤先生に連絡をするようにとのことです。

住所:山梨県中央市下河東1110
連絡先:amomosawa@yamanashi.ac.jp

名古屋大学医学部附属病院

愛知県名古屋市昭和区にある名古屋大学医学部附属病院。
性同一性障害の治療については、泌尿器科で行っています。
そのため性同一性障害についての問い合わせは泌尿器科までとのことです。

住所:愛知県名古屋市昭和区鶴舞65
連絡先:052-744-2985

札幌医科大学附属病院

北海道札幌市にある札幌医科大学附属病院。
平成15年からGIDクリニックを開設しています。
完全予約制で、予約期間も限られているため初診まで数カ月かかる場合もあるそうです。

住所:北海道札幌市中央区南1条西16-291
連絡先:011-611-2111

札幌中央病院

同じく北海道札幌市にある札幌中央病院。
7つの施設の中で一番最近に認定されました。
札幌医科大学附属病院と提携をして、手術を受け付けています。

札幌医科大学病院で受付をして、実際の手術施設として札幌中央病院を使用するということが考えられています。

住所:北海道札幌市中央区南9条10丁目
連絡先:011-513-0111

沖縄県立中部病院

沖縄県うるま市にある沖縄県立中部病院。
2015年より「おきなわジェンダーセンター」を開設しています。
新規の受付には、他の性同一性障害のカウンセリングを行っている病院からの紹介状が必要です。

※現在新型コロナウイルス感染拡大の関係上、沖縄本島以外の方の受付を中止しています。

行徳総合病院

千葉県市川市にある行徳総合病院
関東圏内で唯一の認定施設です。

精神科はないため、他の病院での診断書と意見書、紹介状が必要です。

住所:千葉県市川市本行徳5525-2
連絡先:047-395-1151

まとめ

胸オペを保険適用で行う条件や方法を解説しました。まとめると次の通りです。

  1. FTMやMTFの身体的治療は莫大な費用がかかるが、特に胸オペは保険適用が可能である場合も多い。
  2. 胸オペを保険適用で行うには、ホルモン治療を開始していないこと、および認定施設での手術が条件となる。
  3. 既にホルモン治療を開始している場合、胸オペを保険適用で行うことはできない。
  4. 認定された施設での手術が必要で、国内には2022年2月現在、7カ所の認定施設が存在する。
  5. 認定施設には、岡山大学病院や山梨大学医学部付属病院などがあり、これらの病院での手術は保険適用の可能性が高い。


自費で行う時とは比べ物にならない金額、20万円以下には収められるので、まだホル注を始めていない場合には、検討をしてみてください。

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